半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

秘密の花園から聞こえてきた会話に……

 
今日の夕方のことだ。

仕事を終え、更衣室で着替えていたら、隣の派遣さんの女子更衣室から話声が聞こえてきた。

声の主は、50代半ばと思しきおばさまと、20代前半と思しき女性だ。


「ちょっとあんた。どうしてんの?」

おそらくおばさんの方だろう。ハスキーな声で若い女性になにか訊いている。

「なにがですか?」

面を食らったような感じで若い声が応える。

「ムダ毛やんか」

「え。そんなん、ちゃんとしてますよ」

「うそやん。えらいなぁ。わたしはな、冬はボーボーやでボーボー。見せたろか。ほら」

「きゃ。ほんまや。すごーい」

見せたろかやないやろが。見せられた方も、なに感動しとるんじゃ。

思わず壁越しにツッコミそうになったが、すんでのところでとどまった。

ハスキーヴォイスの雰囲気からして

「あんたにも見せたろか」

と言われそうだったからだ。

断ってくが、決して聞き耳を立てていたわけではない。安普請のせいか、壁が薄いので嫌でも聞こえてしまったのだ。

それに、こちらに聞こえるということは、あちらにもこちらの声が聞こえるということだ。そういう状況をわかっていながら

声をひそめないというのは、もはや確信犯、いや、愉快犯と言って差し支えないだろう。


ここはなんとしても、『ハスキーボーボーマダム』と廊下で顔を合わせたくない。

そう思った僕はいつもより素早く着替えた。

普通に考えて、男性より女性の方が着替えに時間がかかるだろうと踏んだのだ。

高速で着替えている最中も、隣からの声は聞こえてきた。

今度は同僚の誰それが守銭奴だとか、後輩の誰それが持っている鞄が、どこぞのブランドの偽物だとかいう下世話なもの

だった。

どれもハスキーボーボーマダムが一方的にまくし立て、若い方は相づちを打つだけというものだったが、なんだかムダ毛

自慢の方がマシに思えてげんなりした。

ただ、いつまでも更衣室にいるわけにもいかない。僕は頃合いを見計らって更衣室を出た。

ところが、やっぱりというかなんというか会ってしまった。ハスキーボーボーマダムと相づちレディに。

「おつかれさまです」

仕方がないので挨拶をした。

「おつかれさまあ!」

「おつかれさまです」

どちらも顔に見覚えはあるが、名前まではわからなかった(なんせ、うちは派遣さんがものすごく多い)

それでも当然、どちらがハスキーボーボーマダムかはわかった。

見えない間は恐怖のようなものを感じていたが、いざ目の当たりにすると

あんたがボーボーなんやと思うだけだった。

「ムダ毛はいいとして、無駄口はやめておいた方がいいのでは」

そんなことはもちろん言えず、玄関を出る2人の背中を見送った。


女子更衣室はよく秘密の花園だと言われるが、秘密の花園は秘密だからこそ夢があるのだ。

秘密の花園が秘密の花園であり続けるために、会社に言って更衣室の壁を厚くしてもらおう。・・・・・・無理やな。
  




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コメント

ハスキーボーボーマダム(笑)
すごいですねー、さすがにそこまで捨ててません。
周りにいますけどね、道端で脇毛処理の話平気でするおばちゃん。
人の振り見て我が振り直せということで、恥を忘れないよう気をつけます(笑)

  • 2014/12/06(土) 09:10:20 |
  • URL |
  • 米田米子 #5lgk84Pk
  • [ 編集 ]

そうですよねえ。

捨てていいものと、捨てちゃいけないものってありますよね。
人それぞれなんでしょうけれども。

でも「恥」の感覚は大切ですよね。

僕も気をつけたいと思います。

男なんで脇毛はいいとして(笑)

  • 2014/12/06(土) 11:50:45 |
  • URL |
  • 島中 之裕 #-
  • [ 編集 ]

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