半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

秋の京都 ホテルを探すおかしな男。

 
 二十歳から15年間、京都市内のビジネスホテルでフロントマンをしていた。

 秋の紅葉シーズンで、満室状態がつづくある夜のこと。

 ウォークイン(事前予約なしで、宿泊を希望すること。またその人そのものを指す)の男性客が来た。

「今日、部屋空いてるか?」

「申し訳ございません。満室でございます」

 めいっぱい申し訳なさそうに、でもきっぱりと言った。

 本当に満室ではあった。だが、仮に空室があったとしてもお断りしていた。

 男は肌寒い秋の夜だというのに、ランニングシャツに短パン、草履ばき、右手には

 むき出しのゴルフクラブを握りしめていたからだ。普通でないことは明らかだった。

「おかしいなあ。どこも満室だ」

 首を傾げながら男は出て行った。

「おかしくない。全然おかしくない。おかしいのはお前のオツムだ」

 のど元までせり上がってきた言葉を飲み込むのに苦労した。

 男はホテルには泊まれず、ブタ箱に泊まることになったのではなかろうか。

 合掌。

    




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