半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

客室数が144室なのに、売上がとんでもないことになっているホテル


 二十歳から15年間、ビジネスホテルのフロントマンをしていた。

 中島大樹(本名・当時、23歳くらいだったかな。ある飲み会のときにオシャレな眼鏡をかけるも、支配人に『おまえ、その眼鏡かけたらドン小西やないか』と言われ意気消沈)というアルバイトがいた。

 ある夜勤のときの話だ。

 日勤の責任者から引き継ぎをしてもらい、フロントに出た。

 中島がレジ金のチェックにかかった。夜勤に入ると、まずはじめに取りかかる仕事の1つだ。

 プリンター付きの電卓をカチャカチャ叩く中島。

 僕はフロントの中央で予約カードのチェックをした。

 ほどなくして中島が僕のところにやってきた。

「島中さん、クーポンは合ったんですが、現金が合いません」

「多いのか? 少ないのか?」

「多いです」

「いくら?」

「3億6―――」

「数え直せ」

 最後まで聞かずに僕は電卓を指さした。

「え」

 きょとんとする中島。

「お前な。あのレジの中に現金で3億円以上も入ってると思うか? うちのホテル144室やぞ。1日で3億の
 売上って、いったい単価いくらや」

「えーっと」

「それは計算しなくていいから、早くレジ金を数えなおせ」

 僕は半笑いであごをしゃくった。

 結局、レジの現金は360円の過金で原因もすぐにわかった。

 こういうのはスケールの大きなミスというのだろうか。いや、小さな計算ミスだな。

 中島は5年ほどアルバイトをした後、契約社員になったが、現在は会計事務所で働いている。

 人生設計における計算ミスをしているのではないかと、ときどき心配になる。

    




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