半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

どっちもあかん。

 
 二十歳から15年間、ビジネスホテルのフロントマンをしていた。

 金子寿一(本名・ただし字が間違っているかも)というアルバイトがいた。

 決して美男子とはいえないが、眼鏡がよく似合う愛嬌のある男だった。

 
 ある夜勤のときだ。夕方の6時に金子は出勤した。僕たち社員は午後4時にすでに出勤していた。

 フロントに出てきた金子を見て、僕は違和感を覚えた。

 金子のやつ、いつもと違うぞ。でも、どこかどう違うのかわからない。

 僕は金子を頭の先からつま先まで、よ~く見てみることにした。

 視線が頭の先から顔の中心あたりに移したときに、違和感の理由がわかった。

 なんと金子の眼鏡のレンズ(右側)が無いのだ。

「お前、その眼鏡はなんや? なんで右のレンズないんや?」

「それがですねえ。出勤前に踏んでしまってレンズにひびが入ったんですよ。で、ひびの入ったレンズで
 
 フロントに立つべきか、レンズを外してフロントに立つ方がいいのか、熟考した結果、後者にしました」

 ホテルマンとしては100点満点の笑顔で金子が答えた。しかし、残念ながらレンズが片方しかない眼鏡で

 フロントに立ってはいけない。当然といえば当然である。

 僕は珍しく

「どっちもあかん」

 と、まともな指導をした。

 結局、その日、金子は眼鏡を外して仕事に臨んだ。かなり不自由そうではあったが、仕方がなかった。

 
 ちなみにこの金子。はじめてチェックイン業務をするとき、緊張のあまりお客様に

「ちょっと待ってな」

 と、思いっきりタメ口で言ってしまい、即刻、支配人にバックヤードに引きずって行かれたというエピソードも持っている。

 なかなかユニークな愛すべき男だった。

 いまは営業マンとしてバリバリ頑張っているらしいが、ちゃんとした眼鏡で営業にまわっているのか、

 ときどき心配になる。
 
 




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コメント

惜しい

大笑いしました。すごい記憶力ですね。ただ、僕の名前は雅寿です。
現在、修学院に住んでますので銀閣寺道の店で一杯楽しみにしております。
psミホさんのパチンコはどうですか?

  • 2014/10/23(木) 20:53:38 |
  • URL |
  • 金子トップロード #-
  • [ 編集 ]

すまん!!

そうやった。『雅寿』やったな。すまん! しかし改めて見るとええ名前やなあ。
銀閣寺あたりやったら、鈴やんのお店がいいなあ。

  • 2014/10/24(金) 00:28:31 |
  • URL |
  • 島中 之裕 #-
  • [ 編集 ]

追伸

ミホさんのパチンコはだめですわ(笑)

  • 2014/10/24(金) 00:30:19 |
  • URL |
  • 島中 之裕 #-
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