半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

群馬長期出張編 パート・Ⅱ その3 『島ちゃん、教えちゃダメだよ』と言われたのだけれど…




うんともすんともいわない機械を前に、新人の松田くんが固まっている。


そのすぐ横で超ベテランオペレーター、しゃべくりマン・渡部さんは腕組みだ。


『どうした、マツ。よおく見りゃ分かるだろ』


松田くんは異常音を発して停止した機械をもう一度、念入りにチェックした。

復旧のオペレーションは、抜かりなくしたはずなのに、なぜ動かない。

なぜだ…!?

松田くんの後ろ姿に焦燥感がにじむ。


そりゃそうだ。製造ラインにチョコ停(一時的なトラブルで機械、設備が停止すること)は、つきものだが、素早い復旧、再稼働はオペレーターの重要な職務の1つなのだ。


にもかかわらず、しゃべくりマン・渡部さんが、復旧方法が分からない松田くんを前に悠然としているのは、松田くんをゆっくりしっかり育てたいからに違いなかった。

しゃべくりマン・渡部さんのその熱い思いに胸を打たれながらも、僕は落ち着かなかった。

松田くんの教育のために停止時間が長くなり、結果、稼働率が下がることを快く思わなかったからでは、もちろんない。


何を隠そう僕も分からなかったのだ。なぜ機械が再稼働しないのか。

いや、まじで。

これでも京都工場から応援で来ている身だ。

こんな時、松田くんにさりげなく助け船を出したりするのが、本来の役割なのだろうが、新人と同じように分からないのだから、落ち着いていられるわけはなかった。


松田くんと渡部さんの背後に立つ僕は、泰然と振る舞いがらも目だけはせわしなく動かした。

と、渡部さんが僕の名前を叫んだ。

『島ちゃん!』

きた。ヤバいぞ。ここはパターン的に

『マツの野郎に教えてやっておくれ』

とくるに違いない。


両方の脇からいやな汗が出た。

尻からはうんこが出そうなくらい、全身を緊張と焦慮が包んだ。


ここで答えられずに恥を晒すくらいなら、ほんとにうんこをもらして、この場をめちゃくちゃにしてやろうかとさえ思った。


しかし、神はいた。

『島ちゃん、教えちゃダメだよ。マツには自分で考えさせないといけないんだ』


渡部さんが続けて口にした台詞は、僕の予想とは真逆のものだった。

そっちのパターンかい。ビビらせるなや、このションベンはげが。

安堵し、いやな汗も便意も引いた僕は余裕の笑みを浮かべながら、大きくうなずいた。

松田くんが僕を振り向き、

『島さん。さすがですね。僕、がんばります』

とでも言いたげな視線をよこした。

僕はそれに応えて、もう一度うなずいた。

なかなかの小物ぶりだ。


それから20秒ほど経過したころだ。


渡部さんが停止した機械のすぐ手前のコンベアのリセットボタンを押すと、ラインは再び動き出した。


『まだまだだな、マツ』

渡部さんが松田くんの肩をバシバシと叩いた。


え。そこやったんかいな。

ラインの機械、設備は連動している。

ある機械が異常を起こし停止すると、信号が飛びすぐ手前の機械(もしくは次の機械)も停まるようになっているのだ。


だから復旧させるときは、異常で停止した機械だけではなく、その前後の設備も見なければいけない。


基本的なこと過ぎて、新人の松田くんでも当然そこはやっているだろうと思い込んでいた僕は、思考から排除してしまっていた。


僕もまだまだだ。


基本て大事だな。


いや~、勉強になった。

ところで、添付の写真に収まっているのは、仮住いのアパートに設置されているエアコンとワードローブなのだが、エアコンの位置、おかしくないか。

ワードローブの真上て。

なんか効きそうにないぞ。

設置するところが間違っているような気がするぞ、基本的に。





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コメント

仕事お疲れ様です。
ほんと日々勉強ですよね。
お互い頑張りましょう!

  • 2015/04/29(水) 21:33:43 |
  • URL |
  • 金太郎 #-
  • [ 編集 ]

金太郎さま。

ほんと、そうですよね!

お互い、頑張りましょう(^O^)

  • 2015/04/30(木) 20:43:13 |
  • URL |
  • 島中之裕 #-
  • [ 編集 ]

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