半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

音痴の哀切

 
 二十歳からの15年間、ビジネスホテルでフロントマンをしていた。

 ある夜勤のときのこと。

 チェックインがほぼ終わった深夜の1時頃、僕と学生バイトの野中は、事務所で日報の作成や翌日の予約のアサイン(部屋割)などの仕事をしていた。

 そのときどういうわけか、僕は鼻歌を 歌ってしまった。

 音痴を自認する僕は、人前では極力歌わないようにしているのだ。
(でも、歌は好きなので車の運転中にひとり絶唱したりはする。そんなときに道行く人と目が合ったり
すると、恥ずかしさのあまり自爆事故を起こしてしまいそうになる) 

 どういう心持がそうさせたのか自分でもわからないが、とにかくその夜、僕は鼻歌を歌った。

 曲は大好きなスピッツの「チェリー」だった。

♪ 愛してるの響きだけで~♪

 というサビから口ずさんだ。するとそれを聴いた野中が

「いいですねえ。ゴスペラーズ」

と言ってにこりと笑った。僕をおちょくっているようには見えなかった。

「いや、スピッツ。スピッツの『チェリー』や」

 僕が間違いを指摘すると、野中は「うそでしょ」と爆笑した。
 
 僕も調子を合わせてへらへら笑ったが、本当はちょっと泣きそうだった。






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