半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

群馬出張編・8・応援6日目 決起大会と過ちと…



2月15日(日)休み。


寝苦しさで目が覚めた。

すぐ目の前に見慣れない顔があった。

まだ眠っている。

起こさないように、そっとベッドから抜け出しポカリスウェットを飲む。

少し頭が痛い。

テレビの前に僕のものではない服が、きれいに畳んで置いてある。

なぜ、こんなことになったのか思い出してみる。




昨日、来週からの本稼働に向けて、最後の調整を行ったあと決起大会が催された。

決起大会というのは、つまり飲み会で、応援に来た僕と武島さんの歓迎会も兼ねられていた。

現場のメンバーはもちろんのこと、事務方のスタッフも参加していたのだが、その中に安原英子もいた。


居酒屋での1次会から宴は盛り上がった。


休み返上で最後の調整をするも、不安要素がそこここに残る状況に、みんなやけくそ、いや、良い意味で開き直っているようだった。

そんな現場メンバーの労をねぎらうように、安原英子は酌をしてまわっていた。

『おつかれさまです。来週からがんばってくださいね。京都からわざわざ、ほんとにありがとうございます』

僕のところにきた安原英子は仕事場で見せる顔と同じ顔で、ビールを注いでくれた。

『ありがとう。がんばるわ』

平静を装ってグラスに口をつけたが、実は少し胸がざわついていた。

それは安原英子が香水をつけていたからだ。

フェラガモのインカントチャーム。

元カノがつけていた。

そしてこれも偶然だが、その元カノの名前も英子といった。


匂いが呼び起こす想い出に胸が疼いたのだ。

『奥様、さびしがってらっしゃいませんか?』

『いや。むしろ喜んでるよ』

誰もが言いそうな冗談で答え、グラスのビールを飲み干した。


安原英子は屈託なく笑い、もう一度ビールを注いでくれると隣の卓に移動した。


長期出張で群馬に来てから1週間。

工場の廊下ですれ違ったときに挨拶をする程度で、さほど接点のない安原英子のことが急に気になり始めた。

こうなると、安原英子の黒目がちで潤んだ瞳や、カラスの濡れ羽色したショートカットも元カノを彷彿させた。

2次会は居酒屋から歩いて5分ほどのところにあるカラオケパブでということになった。

2次会も全員参加だ。

オペレーター仲間と歩きながら、僕は目で安原英子を追いかけていた。


安原英子はラインのサブリーダー・志田さんと並んで歩いていた。

安原英子が二度三度、志田さんの顔を見上げて、笑顔を見せた。

さっきとは違う種類の痛みを胸に感じた。


その痛みを振り払うかのように、2次会で僕は飲みまくった。

好きではないカラオケも歌った。

上半身裸でブルーハーツの『リンダリンダ』を歌った。

甲本ヒロトのように、ジャンプしながら、変な顔で舌を出しながら絶唱した。

中には僕と一緒にジャンプするやつもいた。

みんな爆笑していたが安原英子は笑っていなかった。

カラオケパブを出たのは、夜中の2時を過ぎていた。

ラーメンを食べに行くという強者もいたが、決起大会はお開きとなった。


幹事の佐藤くんがタクシーを4台止めた。

帰る方向が同じもの同士で乗り込んだ。

安原英子が僕の隣に乗ってきた。

助手席には同じチームの島田くんがいた。

タクシーが走り出すと僕は寝てしまった。


『この辺りですよね』

安原英子に揺り起こされて目を開けた。

アパートに近いコンビニの駐車場だった。


僕が降りるために、安原英子が一旦降りた。

島田くんはすでにいなかった。

ここまでのタクシー代を払おうと思って財布を出したとき、安原英子を乗せていないタクシーが行ってしまった。

アルコールで緩みきった脳みそで、自分が置かれている状況を考えてみた。

甘い地獄下りの予感がした。

『アパートまで送ります』

と言う安原英子を抱き寄せた。

脳裏に一瞬、嫁の顔が浮かんだが、すぐに消えた。

僕の耳元で安原英子が言った。

『今夜だけ一緒にいてあげる』

抱えられるようにしてアパートに帰った。

シャワーも浴びずにベッドに倒れ込んだ。



そして、さっき。

寝苦しさで目を覚ました。

化粧を落として眠っている安原英子は、昨夜とは違う印象だ。


安原英子はまたここに来るだろうか。

会社の人間にしゃべるだろうか。

なんてことをぼんやり考えていると、安原英子が目を覚ました。

『おはよう』

安原英子は僕のスウェットを脱ぐと、さっさと自分の服を着て化粧をし身支度を整えた。

『会社の人には言わないから安心して』

コートを羽織ながら、安原英子が言った。

僕は返事をしなかった。

『それから…』

ブーツをはきながら安原英子が言った。

『えいこだから』

なんのことだか分からなかった。

『名前。私の名前、ひでこじゃなくて、えいこだから』

『あ、ごめん』

今度から気をつけると続けようとして、やめた。

そうだったのか。

元カノが同じ字で『ひでこ』だったので、てっきり安原英子もそうなのだと思い込んでいた。

覚えていないが、たぶんベッドの中で呼んだのだろう。

『じゃあね』

安原英子が出ていった。

小さなテーブルの上から振動音が聞こえてきた。

ガラケーのディスプレイを見た。

嫁からのメールだった。

『おつかれさま。昨日は遅かったの?』

安原英子の残り香の中、なんと返信しようか考えた。






























うそです。

長々とごめんなさい。

安原英子なる人物はいません。

僕の妄想の産物です。

なにが

『今夜だけ一緒にいてあげる』

だ。気持ち悪ぅ。


決起大会はありましたが、参加者は全員男で、まさに『魁!!男塾』でした。

2次会はキャバクラに行きました。3次会も。

しゃべくりマン・渡部さんは、キャバクラでも散々、血液型の話をした後

『血液型なんて関係ねえよな』

と言い放ち、キャバ嬢たちをずっこけさせてました。

恐るべし、57歳。


でもほんとに楽しかったです。

明日からいよいよ本稼働。

僕は夜勤です。

がんばります!

 




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コメント

応援初日から今まで大変そうですね!

こっちはこっちでなかなかなもんですよ。

しかし夜勤と休日出勤とは...

頑張ってください。

  • 2015/02/15(日) 22:57:13 |
  • URL |
  • タカユキ #-
  • [ 編集 ]

ありがとう。

まあまあ、大変やで(笑)

京都もいろいろ大変みたいやなあ。

お互い、がんばろな!

  • 2015/02/15(日) 23:23:21 |
  • URL |
  • 島中 之裕 #-
  • [ 編集 ]

はじめまして。
時々お邪魔させてもらってます。
今回の、ドキドキしながら読んでました(笑) また寄らせてくださいね。
夜勤、頑張ってください。

  • 2015/02/17(火) 10:45:26 |
  • URL |
  • tomo #1TxvL9kQ
  • [ 編集 ]

tomo様

はじめまして。

ご訪問ありがとうございます。

恥ずかしい妄想を書いてしまいましたが、ドキドキしながら読んでくださって嬉しいです。

男っていうのは、いくつになってもアホです(笑)

  • 2015/02/17(火) 14:59:30 |
  • URL |
  • 島中之裕 #-
  • [ 編集 ]

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