半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

群馬出張編・5・応援3日目 ピンチ



2月11日(水)

応援3日目。

ピンチだ。

いや、ピンチは今に始まったことではない。更に深刻な状況になったということだ。

今朝、現場に出る前にラインのメンバー全員参加でミーティングがあった。

まず各部署の進捗状況の報告からだったのだが、僕が応援に入っている『前後半』を含め、どこもボロボロだ。

とても明日、試運転をできる状態ではない。
会議室の空気が重くなる。

そこに追い討ちをかけたのが、リーダーからの報告だ。

『来週の本稼働以降の生産計画数が増え、24時間体制で稼働させなければならなくなりました』

製造計画、生産予定数は、うちの会社が仕事を頂いている大手食品メーカーが決める。

下請けのうちとしては、増産と言われればやるしかないのだ。

『ついては、応援で来て頂いている島中さんと、武島さんにも夜勤に入っていただければ助かるんですが…』

リーダーが申し訳なさそうに僕と武島さんを見る。

今回の長期出張、応援は日勤だけという話だった。

そういう条件で群馬工場、営業所が全国の支店に応援要請をしたのだ。

だから、リーダーも僕と武島さんには遠慮がちになる。

だけど、こんな状況で『聞いてません』などと言って断るやつがいるだろうか。

契約にうるさいアメリカ人とかなら、断るのかな。

ま、そんなことはどうでもいい。

僕も武島さんも快諾した。

ただ、それでも状況が良くなったわけでは、もちろんない。

誰かが病欠したら、たちまち回らなくなる。それどころか休憩だって、ロクに取れない体制なのだ。

いや、その前にまともに稼働できるかも甚だ疑問である。

どうしようもない難局に対峙し、みんな笑うしかなかった。

『みなさんの方から何もなければ、これでミーティングは終わりますが』

静かにリーダーがまとめようとしたときだ。会議室には場違いな、大声が響いた。

『待ってくれよ、リーダーさん。このまま本稼働迎えたんじゃ、うまくいくわけないでしょう。せめて、も1人くらいはいねえと、どうにもならないよ』

しゃべくりマン・渡部さんだった。

休憩時間に訳のわからない話を延々としているときとは、違う顔をしている。

渡部さんは、更に設備やライン周辺の不備などについて、口角泡を飛ばしてリーダーに訴えた。

そのほとんどが、みんなが思ってはいるけれど、言っても無駄だからと、言わなかったことだった。だが、だからこそ渡部さんは声を上げているように見えた。

『わかりました。私もラインに入ります。その他の件に関しては上にかけ合います』

ミーティングの進行をしていたリーダーは、通常、ラインには入らないクラスのリーダーだ。

そのリーダーに、渡部さんはラインに入ると言わせたのだ。

すげぇ。

なんだかちょっと見直したぞ、しゃべくりマン。

いや、もともと現場ではきっちり仕事をする人ではあるのだが。

みんなの士気も上がったようだった。

グッジョブ、渡部さん。

会議のあと、みんな現場に出た。

午後から僕は簡単な勉強会を行った。

昨日、渡部さんから依頼されていた、K検査機についての勉強会だ。

対象は前後半チームの渡部さん、若手ホープの島田くん、新人の松本くん、中途採用で入社間もない脇山さんだ。

今回は大事なポイントだけ伝えることにした。
合計12台設置されている検査カメラの位置、その役割及び不良品排斥の仕組みと排斥データの見方など。

それらを実際に見て、触れてもらいながらレクチャーした。

みんな何度も大きくうなずいていた。

かつての僕がそうであったように、みんなカメラの位置も完全には把握していなかった。
仕方のないことだ。

K検査機を見るのは初めてで、他にもオペレーションする設備はたくさんあるのだから。
『シマちゃん、ありがとう! いやぁ、シマちゃんに応援に来てもらってほんとによかったよ。もうK検査機について教えてもらうことはないね』

渡部さんが、僕の肩をバシバシ叩いた。

いやいや、まだ基本だけやっちゅーの。

めんどくさいので、

『そうですね』

と言っておいた。

また追々レクチャーしよう。

試運転を明日に控え、不安を残したまま退勤した。

帰り道、レンタカーのガソリンが少なくなってきたので、スタンドに寄ったのだが、そこでやってしまった。

スタンドのお兄さんに言われ、給油口を開けようとして、背もたれのレバーを思い切り引いてしまったのだ。

勢いよく後ろに倒れた。

なぜ、こんなときって自分で笑ってしまうのだろう。

衰えてきた腹筋にムチ打って体を起こし、本来のレバーを探しあてた。

写真の右側のが僕、左側が大阪営業所から応援に来た武島さんが使っている。

受け渡しのとき、レンタカー屋のスタッフが訊いた。

『どちらが、どちらに乗られますか?』

どっちでもええわ。

ピンチだと言ってるくせに、けっこう書いてるなぁ。

ま、とにかく寝よう。
明日は試運転だ。
 




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