半泣きの詩(うた)R 

「半」のつく言葉が好きだ。半泣き、半笑い、半ケツ、半身、半熟、半殺し等々。 どれもこれも中途半端な状態を表していてコミカルだ。 半殺しなんかはちょっと物騒な響きだが、それでもきっちり殺されるよりはマシである。 世界は中途半端であふれ返っている。 このブログでは大泣きするほどのことではない、でも半泣きくらいにはなってしまいそうな日常のシーンを掠めとって、読んでくれる人を半笑いにしたいと思います。

弟と2人で暮らしていたときに起きた、ちょっと切ない事件。


僕も弟もまだ独身のころだから、もう20年くらい前の話。

当時、僕は弟と2人で暮らしていた。生まれ育ったオンボロ長屋の実家でだ。

どういうことか。

まず父親は僕たちが幼い頃におかんと離婚して出て行った。それから十数年後、いろいろあっておかんも出て行った。

で、気がつけば僕と弟の2人が長屋に残ったというわけだ。

と、そんな切ない経緯はどうでもいい。

ある夜、仕事から帰ってきた弟が居間に入ってくるなり、僕に声をかけた。

「兄貴、ほら!」

僕が見ると、弟は右手に握りしめたなにかを誇示するように突き出した。まるで印籠を振りかざす渥美格之進のように。

弟が誇らしげに握っていたのは『うな重のタレ』だった。

「なんやそれ?」

うな重のタレということは見ればわかったが、なぜそんなものをわざわざ見せつけるのか僕には理解できなかった。

「これを飯にかけて食うんや。うな重食ってるとき、タレのかかってるところ食ったらめちゃくちゃうまいやろ。せやから、

これを飯にかけて食うんや」

弟が鼻の穴フルオープンで力説した。

当時、食事は僕が作っていた。といっても夜勤でない日の晩ご飯だけ。レパートリーは『焼き飯』と『豚キムチ』と『ポパイ炒

め』の3つ。数日おきに同じものを食べさせられるのが苦痛で、もしくは僕の手間を軽減させるために、そんなものを買って

きたのだろう。

ちょうど、その夜はまだおかずを作っていなかったので、早速、試してみた。

どんぶりにご飯をよそい、正座をしてうな重のタレのふたを開けた。そしてまんべんなくご飯にかけ、箸ですくうとゆっくり

口に運んだ。ひと口、ふた口・・・。静かにときは流れた。僕も弟も黙っていた。黙ってただ、うな重のタレがかかったご飯を

食べた。うまくなかった。全っ然、うまくなかった。うまくなさ過ぎて、涙さえ零れ落ちそうだった。

寒々とした沈黙を破ったのは僕だった。

「お前な、これはあかん。うな重のタレの部分がうまいのは、うなぎの身がすぐそこにあってのことなんや。身あってこその

タレなんや。こんなもん買ってくるくらいなら、ふりかけ買ってこい。バカタレ!」

弟は、ただ

「そなや」

と、うなだれていた。

そんな弟も今では、会社で役職に就いているらしい。

部下に訓をたれることもあるのだろうが、“うなだれ事件”のような失態を演じないよう気をつけて欲しいものだ。

                 
                  後半、ダジャレの連発になったが、これはこれで“うまくかけた”と思う。合掌。





気まぐれ日記 ブログランキングへ
 
 にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへ
にほんブログ村        

コメント

ああ~、それは惜しかったです。
うなぎの代わりに魚肉ソーセージや目玉焼きを乗せれば良かったですね。
私はよく焼肉のタレでやりますが、おいしいですよ。
たんぱく質が入るだけで味が全然違いますからね。
あ、でも人前ではやらないようにしてください(笑)
オリジナル(貧)レシピですから~。

  • 2015/01/25(日) 23:00:55 |
  • URL |
  • 米田米子 #5lgk84Pk
  • [ 編集 ]

おおぉ!

そんな良い手があったなんて!

ぜんぜん思いつきませんでしたぁ。

今度、試してみます!人前はさけて(笑)

ありがとうございます!

やっぱりたんぱく質は必須ですよね!

  • 2015/01/26(月) 21:02:23 |
  • URL |
  • 島中 之裕 #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する